<パキシル>とは
パキシルはSSRI(選択性セロトニン再取り込み薬)のひとつです。日本では国内2番めのSSRIとして、2000年から販売が開始されました。
神経伝達物質であるセロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内シナプス間隙のセロトニン濃度を高めます。これにより脳内の神経伝達がよくなることで、うつ状態の改善・不安感の緩和などの効果が期待できます。パキシルは同系の中でも、再取り込み阻害作用が強いといわれています。
また、SSRIはセロトニンを再取り込みする“セロトニントランスポーター”だけにしか作用しないので、他の抗うつ剤特有の副作用(口の渇きや便秘、心毒性など)が少ないという点も大きな魅力です。新しい「第3世代の抗うつ剤」として、現在多くのうつ病・パニック障害・強迫性障害・社会不安障害等の患者に処方さるようになりました。
一般名:パロキセチン塩酸塩
<注意点>
☆服用に際し、注意事項や起こりうる副作用について、事前によく説明を受けるようにしてください。
☆抗うつ剤は、うつ病そのものを治す薬ではありません。薬に頼りきってしまわないよう、定期的にカウンセリングをうけ、認知療法などと併せて治療を行う事をオススメします。
☆妊娠中の使用は医師との相談のうえ、継続か中止かを決めるようにしてください。自己判断で急にやめたりしないようにしましょう。
☆病気によっては、症状が悪化してしまうこともあります。持病やアレルギーのある人は事前のカウンセリングの際、忘れずに伝えるようにしましょう。
☆この薬を若い人が服用する場合は、特に注意が必要です。SSRIを含むいくつかの抗うつ剤を臨床実験したところ、24歳以下では逆に悪感情や衝動を引き起こすおそれがあることが報告されました。
☆また、自己判断で薬を飲むことを止めるのもいけません。減量や中止は医師の指示に従って、じょじょに行うようにしましょう。
☆服用に注意が必要な人
・肝臓や腎臓の悪い人
・躁うつ病
・躁病の既往歴のある人
・てんかん、心臓病のある人
・統合失調症の素因
・衝動性が高い精神症状をともなう人
・出血性疾患
・妊娠中
・高齢者
・24歳以下
・自殺願望のある人
☆以下の薬との併用は禁止されています。また、服用中の薬は必ず医師に報告するようにしてください。
・セレギリン(エフピー):パーキンソン病治療薬
・チオリダジン(メレリル)ピモジド(オーラップ):安定剤
・アモキシフェン(ノルバデックス):乳がん治療薬…など多数
☆その他、L-トリプトファン含有製剤(アミノ酸製剤、経腸成分栄養剤等)、セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)など飲み合わせに注意すべき薬はたくさんあります。
☆パキシル服用時は、飲酒を控えるようにしましょう。
<効能>
不安や緊張の緩和
うつ症状の緩和
やる気がでない、眠れない、気分が落ち込んで悲観的になる…といった心の症状を改善し、気持ちが前向きになる事を助ける
<副作用>
・吐き気
・食欲不振
・口の渇き
・便秘、下痢
・眠気
・不安感、イライラ感
・めまい、頭痛
・性機能異常、性欲低下
・尿が出にくい
・動悸
・発疹、発赤、かゆみ
☆SSRI系統特異の副作用…「セロトニン症候群」
SSRI系統の薬を服用後、突然他人に暴力を振るう・激高するなど、副作用と疑われる症例がいくつか報告されています。この副作用は他の抗うつ剤や抗不安剤には見られないものであり、この薬特異の症状です。また、混乱状態・ふるえ・けいれん・発熱・発汗・体のぴくつき、といった症状が現れた場合も「セロトニン症候群」の発症が疑われます。医師にすぐ連絡するようにしましょう。